まずは現代史のお話から。
1992年から1995年まで、東欧のボスニア・ヘルツェゴビナでは死者20万、難民・避難民200万を出したと言われる大規模な民族紛争が起こりました。
戦闘終結から10年後の2005年。民族和解の象徴として、ある人物の銅像が設置されることとなりました。設置された像は戦争の英雄でも、新しい統治者でもなく、なんとブルース・リー像だったのです。
東欧の一国で平和の象徴として選ばえる映画スターなど、ブルース・リーをおいて他にはいないでしょう。
今回は、平和の象徴で世界的スーパースター、ブルース・リーの代表作『燃えよドラゴン』をレビューします。
『燃えよドラゴン』ってどんな映画?
少林寺の奥義を極めた主人公リー(ブルース・リー)は、麻薬製造のボスと呼ばれる人物の正体を暴き出すため、組織の要塞島で開催される武闘大会に参加する。
犯罪組織のボスとして疑いをかけられている人物は、かつてリーと同門であり、リーの妹を自殺に追いやったハンへであった。
妹の復讐を胸に秘め、リーはハンに闘いを挑む。
はっきり言うと…
決してストーリーで魅せる映画ではありません。演出やドラマも粗が目立ちます。
ではなぜ、今もなお『燃えよドラゴン』が名作として名を残しているのかというと、それはひとえに「動くブルース・リーの圧倒的存在感がある」からなのです。
バラエティ豊かな拳法が堪能できる!
『燃えよドラゴン』は、それまでのブルース・リー主演作である『ドラゴン危機一発』『ドラゴン怒りの鉄拳』『死亡遊戯』でリーのアクションの総決算的作品となっています。
言ってしまえば、『燃えよドラゴン』を観れば、リーのアクションのすべてが堪能できるのです。
だからこそ、どうしてもドラマよりアクションに目が行ってしまうんですよね。CGもワイヤーもない時代に、生身の人間が神がかり的な動きで魅せる。
そりゃあ、伝説にもなりますよ!
ブルース・リーは神を超えた存在!
以前、たまたま筆者が聴いていたラジオで、ある映画ライターの方がブルース・リーをこう評価しておられました。
「キリストは磔(はりつけ)にされて死んでしまったが、ブルース・リーはそこから立ち上がって反撃する。ブルース・リーはキリストよりも強い」
メチャクチャな論ですが、キリストに並ぶくらい世界的に知られていて、リスペクトされていて、さらには人知を超えた身体能力を持っている。
冒頭のボスニア・ヘルツェゴビナの話のように、平和の使者として見られている存在がブルース・リーはなのです。
映画ファンなら、アジアが誇る最高峰の映画スターの作品、見逃せないですよね!
まとめ
ブルース・リーが活躍した1970年代は、今以上に西洋人が東洋人を差別していた時代です。
そんな時代背景がありながら、現在でも西洋人に愛されるスーパースターの作品ですから、それだけでも鑑賞する価値大アリですよ!
ブルース・リー総決算の『燃えよドラゴン』はぜひNetflixで!
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