ハウス・オブ・カード『野望の階段』のえぐい階段を2段(2シーズン)だけ登ってみました

写真の手をよく見てください!

ハウス・オブ・カード『野望の階段』は、ケビン・スペイシー演じるフランク・アンダーウッドというサウスカロライナ州選出の野心家の下院議員が、大統領にまで登り詰めるまでの権謀術数渦巻くどろどろした政治ドラマです。

シーズン2まで全26話。最初は2、3話と思っていたものが、ついつい26話を一気に観てしまいました。

ついイッキ見してしまう・・・その魅力とは?

1話が43分~59分という、従来のテレビ・ドラマのように時間枠が決まってない作りになっているのが、すでに新しいですね。

それが2シーズンだけで26話もあるわけですから、まあ、単純に計算しても26時間近くあり、binge-watching(ビンジ・ウォッチング=一気見)したとしても、寝ずに24時間以上かかる計算になりますね。

それだけでも、えらい騒ぎです。でも、一気に見ちゃいます。なぜでしょうか?

シーズン1の1話の冒頭で、フランクが自宅の前で交通事故で瀕死の重傷を負った犬を発見すると、ヒーヒー悲鳴を上げて断末魔の犬に近づき、彼はカメラ目線で(つまり、観客に向かって)こんなことを言います。

痛みには2種類ある。成長に必要なものと、ただのつらい無益な痛み。こんな時、必要なのは、不快に耐え、やるべきことをやる人間だ。

と言ってから、あっさりと犬の首をひねって殺し、

ほら、これでもう痛くない。

と、何食わぬ顔で、その場を去っていきます。

心の内面を明確に描写するスタイルが斬新

このセリフはその後の彼の、「目的のためには手段を選ばない」人生観のすべてを象徴しています。

イデオロギーや信仰心なんかクソ食らえ的な、彼がいわゆるマキャベリズム、プラグマティズムの権化であることをセリフとアクションで示し、このキャラクターの強さで観客はぐっと心をつかまれます。

上記のセリフに、たとえきれいごとが好きな人でもそうそう反論はできないでしょう。もともと、脚を負ってしまった馬を銃で撃ち殺すなど、騎馬民族であるアングロ・サクソンには、瀕死の動物や人間は、生殺しにするよりも、殺してあげたほうがいいという安楽死的なput out of misery(窮地から救う)という考え方を持っていますから、このシーンには多くの人が賛同せざるをえないでしょう。

そして、2013年の大統領選挙で、ギャレット・ウォーカーという大統領候補を後押していたフランクは、自分を副大統領にしてくれるという口約束をウォーカーが反故にしたのをきっかけに、恨み骨髄、自分がなるはずだった現副大統領を辞任させ、果ては現大統領まで追いやって、自分がその座を奪取せんと権謀術数をめぐらします。

奥さんのクレアも、フランクに負けず劣らずの実利、功利主義で、敵を多く作りますが、まるでシェークスピアの『マクベス』に出てくるLady Macbeth(マクベス夫人)のように旦那に悪事を吹き込み、それを実行させるbitch(悪女)です。

フランクとクレアが、「野望の階段」を登りつめていく間、さまざまな危機が二人を襲ってきますが、その折節、フランクは図抜けた危機対応力を見せます。

こりゃあ、さすがにアウトだろうと思っていると、見事に切り抜けてしまうリスクに対する対応力です。いわゆるrisk management力がすごいです。それがシーズン2の見どころの一つですね。

勝負に勝つために必要なこと

会社であなたが本性を疑われるような状況に直面した時、あなたならどうその危機を乗り越えるでしょうか?

そんな時、フランクなら?・・・と考えると、これは孫子の兵法うんぬんとか、へたなビジネス書を読みよりも、よほど説得力があり、よほど現実味があります。

現実味といえば、現実的なしたたかな物の考え方をするフランクとクレアの夫婦に共通する考え方は、何なんでしょう?

そのへんがこのドラマの最大の見どころになりますが、往年のメジャー・リーグの監督の名言と言われているNice guys finish last.という言葉あたりが一つヒントになるのではないでしょうか。

「(きれいごとばかり言うような)いい奴は最後は泣きを見る=勝負事は非情に徹しないと勝てない」という思想がアメリカにはあります。

これは、およそイデオロギーというものが欠如したフランクとクレアの、なけなしのイデオロギーと言えるかもしれません。

まだまだ野望の階段は道半ば

そして、結局、フランクは大統領にまで登り詰めるのがシーズン2なのですが、その後も、さらにシリーズは来年のシーズン5と続き、大統領は再選を目指していくそうです。

ますます先が楽しみなのですが、ただ、長丁場のこのシリーズの唯一の欠点は、さまざまな個性あふれるキャラクターが登場するのはいいのですが、あまりに数が多すぎることです。(人間相関図が必要ですね・・・)

見ていて「あれ、この人、誰だっけ? その名前は・・・」という風に、ただでさえ、外国人の名前が覚えづらい日本人には一気見でもしないときついかもしれないという点です。

人間というものが持つ果てしなき欲望、野望。その階段はどこへと続くのでしょう? 悪者が活躍するピカレスク・ロマンを思わせるこのドラマ・シリーズで、最後に笑うのは一体誰なのでしょうか? フランク、それともクレア、それとも・・・?

「悪いやつほどよく眠る」と言いますが、Bad guys finish first?(最後は悪いやつが勝つ)のでしょうか? 興味津々です。

この目で見極めたら、またお伝えしたいと思います。

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