えっ? 映画館で Netflix オリジナル映画が公開される!その理由とは?

今、アメリカでは、Netflixと映画館の興行主たちが熱いバトルを繰り広げていて、それが大きな話題となっているのをご存知でしょうか?

というのも、Netflixは新作映画をネットと同時に劇場でも公開する契約を、iPIC エンターテイメントという興業チェーンと結んだというのです。

劇場と同時に公開というのが驚きです! もちろん Netflixのオリジナル作品の映画に限っての話ですが、これは映画館主たちにとっても衝撃的なニュースのようです。

この新契約によって、ニューヨークとロサンゼルスを含む15箇所にある iPicチェーンの劇場では、近々公開される Netflix のオリジナルの新作が公開されることになります。

しかも、10本もの新作映画の公開が予定されており、さらに本数が増える可能性あるというのです。

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iPICってどんな映画チェーン?

iPICは普通の映画館と違って、かなり入場料もお高く、脚も伸ばせる、日本では考えられないようなセレブな映画館チェーンなのです。

上の写真のように間にちょっとしたテーブルがあり、ワインなどのお酒類や料理を楽しみながら映画を楽しめちゃうという、なんとも良い感じのシチュエーション。たとえば、恋人と隣り合わせで楽しむ・・・なんて良いですよね!?

入場料だけで30ドル近い(約3000円)といいますから、アメリカの映画館の平均入場料(約8ドル=800円)に比べてかなりお高いですが、それだけの価値が体験できるということですね。

Netflixの戦略の背後にオスカー狙いがある!?

しかし、興行主側も「家庭と劇場で同時公開なんかされたら、お客さんは劇場に来なくなるじゃないか」と反発するわけで、その気持ちも分かります。

新作の映画はまず劇場で観てもらい、その後に、悪い言い方をすれば「儲けさせてもらってから」、家庭では観ていただきましょう、という言い分なわけです。

 

たしかに、iPICは15の映画館(コヤ)しかないので、チェーンとしては大手とは言えません。しかし、このチェーンの存在価値は決して小さくありません。

というのも、アカデミー賞の規約では、選考の資格がある映画は「最低でも1週間、しかも、一日複数回」上映の状態にあり、その映画がかかっている映画館は封切りの「新作映画を常時」上映していないといけないとされています。

つまり、iPICはこの条件を満たしているので、たとえ劇場数は少なくとも、規約の条件をじゅうぶんカバーできるというわけです。どうやら、Netflixの戦略には、オスカー狙いがあるようなのです。

 

映画の成功はフィルムメイカー、配給会社、劇場主の三位一体があってこそ

一方、Netflixのこういう動きに警戒を示す他の劇場主に言わせれば、映画というのは、映画の作り手、配給会社、そして劇場主という三位一体があってこそ、成功があるのであって、そのビジネス・モデルを壊してもらっちゃ困るというわけです。

前にも同時配信を試みたところ、劇場の収入も家庭のストリーミング配信の収入も、両者ともに激減してしまったではないかというのがおおむね劇場主たちの言い分のようです。

確かに、2000年に公開された『グリーン・デスティニー』の続編で、Netflixのオリジナル映画である『Crouching Tiger Hidden Dragon: ソード・オブ・デスティニー』を今年、IMAXの劇場とネットで同時配信したところ、アメリカでは10ほどの地域で公開されただけに終わり、拡大公開はされなかったという苦い経験があります。

また、去年、劇場とネットで同時公開されたアフリカの内戦を材にしたNetflixのオリジナル映画『ビースト・オブ・ノー・ネーション』も興行的には惨敗でした。

 

 

ただ、さきほども書いたように、Netflix側の発表では、近々公開予定の〝The Siege of Jadotville(ジャドットヴィルの包囲戦)〟を含む10本のNetflixの新作が今回の契約に含まれており、IPICとの新契約は劇場チェーンとの契約としては、アメリカ映画史上初の長期契約です。

iPIC側は、家庭のソファーに居座るお客さんを映画館までひっぱり出すには、たとえネット配信のほうが断然安くても、映画館のラグジュアリー・サービスという付加価値があれば、十分魅力的だと強気です。

さらに、iPICのトップは今回のような動きに対して反発があることを逆に驚いているようで、映画館というものが現代の観客のニーズに応えるものでなければ、お客さんたちは家庭のソファーにしがみついてしまうだろうと言っており、この意見には変に納得してしまいますね。

Netflixがハリウッドの映画業界の伝統的な慣行に反旗をひるがえしたのは、今回の契約が初めてではなく、劇場封切りの新作をある特定のエリアだけで独占的に公開できる興行主の既得権益に対して、Netflixは一部の劇場チェーンを訴え、係争中だそうです。

目が離せない映画のネット配信とハリウッド映画の今後の動向

大手の興行主は、現状、ある特定の劇場だけに封切り映画を公開するだけの独占権を有しているのか、アメリカの司法省はインディペンデント系の劇場主からの異議申し立てに対して現在調査中とのことですが、今回の新契約の動きも含めて、今後のNetflixの動きには、つまり、ネット配信とハリウッド映画の今後の動向には目が離せなくなりました。

長い目で見た場合、おもしろい映画を観るためには、ネット配信と映画館で観るのとどちらが良いのか、これは非常に深い問題を含んでいます。

あなたはどちらが良いと思いますか?

極端に考えると、ネットか映画館かの究極の選択になってしまいます。もちろん、どちらか一方になっては困りますよね。もちろん、両方とも!という回答も合って良いと思います。どちらにせよ、映画ファンとしては、おもしろい映画が観られればそれでいいのですが・・・。

今後はどんな流れになっていくのでしょうか?

今後もNetflixの革新的な動きには目が離せません。

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