愛は塀と性別を超える!?「フィリップ、きみを愛してる!」

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奇妙なラブコメディ

ここ数年、オネェキャラや同性愛者に対し世間が寛容になってきたような気がします。

メディアの影響か、はたまた時代に移り変わりか同性愛者を侮蔑の目で見る人は減りました。特にネットでは、ある種の市民権を得たと言っていいでしょう。

しかし一方で、同性同士の恋愛に対してネガティブなイメージが付きまとっているのも事実です。

あくまでキャラクターやネットスラングとして受け入れられているだけで、同性愛者に対する理解は私を含めて、まだまだ課題が多いでしょう。

でも、映画「フィリップ、きみを愛してる!」は、そんな私でも純粋に楽しめるゲイのラブコメディドラマでした。

稀代の詐欺師であり、脱獄王であるスティーブン・ラッセルの実話を元にした、ちょっと風変わりな恋愛物語。

刑務所で出会ったフィリップ・モリスをひた向きに愛し、あらゆる人を騙してまで彼との幸せを手に入れようとしたスティーブン。

どんな方法で大金をせしめ、どんな方法で刑務所を脱獄したのかは映画本編で見ていただくとして、スティーブンという人間を少し紐解いていきたいと思います。

嘘つきスティーブンと真実の愛

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スティーブンは生後すぐに、母親に捨てられ他の家族に引き取られたという暗い過去があります。

その理由は明かされていませんが、映画の終盤「母は嘘つきの私を見透かして捨てたのかもしれない」と語っています。

果たして、そんな理由で我が子を手放す母親がいるのでしょうか? 実の父親は一切登場しないところを見ると、経済的に困窮していたなど原因は他にあるのだと思います。

彼が幾度も詐欺を重ねたのは、恐らく後天的なものです。育ての両親に「自分たちが本当の両親だ」という嘘をつき続けたことに起因しているのではないでしょうか。母親を探すために、一度は警察官として法を守る立場であったスティーブンが生来の悪人であるとは考えられません。

スティーブンは女性と結婚もしており、子供も設けています。ではバイセクシャルだったのも後天的だったかというと、これに関しては小さい頃から秘めていた思いだったようです。

彼は交通事故を機に、正直に生きようと決めました。そして妻と離別し、男性との関係を持つようになります。後にフィリップと出会い、スティーブンは彼に尽くします。

会社の金を横領し、豪勢な暮らしをして幸せを築こうとしました。しかし、そんな仮初めの生活は長く続きません。すぐに逮捕され、刑務所へ逆戻りです。

フィリップに会いたい一心で脱獄し、彼のために詐欺をするという負の連鎖。派手なことさえしなければ、穏やかに暮らせていたスティーブンがフィリップに拘ったのは何故でしょうか。

愛ゆえに、と安易な言葉で片付けてしまうこともできます。ただ彼には幼い頃実の母に捨てられたという経験があり、もっと根深いところでフィリップを大切に思っていたのでしょう。

彼は前の恋人であるジミーと死別する際も彼の側に寄り添い、別れた前妻ともマメに連絡をとっています。世界有数の大嘘つきは、世界有数の寂しがり屋だったのかもしれません。

愛したのがフィリップでなくても、きっとスティーブンは同じことをしたでしょう。愛に対しては真っ直ぐであり、どこまでも誠実な男なんだと思います。

スティーブン・ラッセル、未だ服役中

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「フィリップ、きみを愛してる!」は実話を元にした映画です。モデルとなっているスティーブン・ラッセルは今も服役中で生涯監獄を出ることはありません。

現在フィリップと別れた彼は脱獄する意思がないようです。また脱獄しようにも、厳重な監視体制のもと塀の外を出るのは不可能でしょう。

しかしスティーブンが新たに誰かを愛するようになった時、天才的な方法で脱獄するかもしれません。愛の力、恐るべしです。

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