ハンナ:16歳の少女はなぜ人間の心を失ってしまったのか?彼女に関する驚くべき秘密とは?

海外映画作品の全タイトルが去年まで 600強だったのに、いつのまにか倍ぐらいにに増殖しています!これらの作品の中から、いったい何を選んで見ればいいのでしょうか?

ラインナップをざっと見ていると、日本では観られないレアな作品とか新作に目がいきがちですが、なかなかどうして旧作の中にも、案外、見逃している珠玉の作品があるものです。

今回は、アクション・スリラー系のなかから、「ハンナ」という作品を紹介いたします。この作品は、アクションと童話という一見、水と油のような要素を取り入れた、フェアリー・テール・アクションとでも言えばいいでしょうか。アクション・スリラーの大傑作です。

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「ハンナ」のみどころ

ハンナというのが16才の女の子の主人公です。まあ、そう聞いて、真っ先に思い出すのが、名作『レオン』に出てくる少女マチルダ役の当時まだ13才だったナタリー・ポートマンでしょうが、まあ、確かに設定としては近いものがあり、それだけに「なあんだ、あの亜流か」と敬遠されてしまった方も多いとしたら、それはとてももったいないことですね。

ハンナという少女は、フィンランドの雪深い雪原の中のぽつんとある小屋でエリックという父親と二人きりで暮らしておりました。

まず、フィンランドという設定にムムムとなります。しかも、ハンナは2才の時から、学校になど行かせてもらえず、父親のエリックの英才教育というか厳しい訓練をスパルタ式に徹底的に仕込まれるんです。

実はエリックはドイツ生まれの元CIAの暗殺要員で、ある秘密を知ってしまったため、CIAの元上司だったメリッサ・ヴィーグラーという女捜査員に命をつけ狙われ、CIAを去ったのです。

そこで、エリックは、娘のハンナを人間兵器として育て上げ、命を狙うこのメリッサを仕留めようというのが、この映画の基本構図です。

やたらと強い、ハンナ。痛快で爽快

あまり、書いてしまうとネタバレになるので、控えたいのですが、映画はその基本構図からどんどん複雑にからみ合い、世界を股にかけます。

ハンナは幼い頃からプロの殺し屋の厳しい訓練を受けてるもんですから、いやあ、強いのなんのって・・・。『レオン』のマチルダは、殺しのプロであるレオンの見習い程度ですが、ハンナは完全に徹頭徹尾、人間兵器です。

DNAに殺戮が組み込まれてるようなおっかないお嬢さんですから、そのギャップが観ていて、めちゃめちゃ痛快・爽快です。レオンと戦ったら、レオンは歯が立たないかもしれませんね。

そして、終盤で出てくる遊園地内の「グリムの家」っていうメルヘンチックな場所が殺戮の場、修羅場、静かな阿鼻叫喚(あびきょうかん)地獄となるのですが、グリムというメルヘンと殺戮という相反するイメージのバッティングがなんとも心地よいのです。

ジョー・ライト監督とシアーシャ・ローナン

渋い『つぐない』という作品もメガホンをとっているこのジョー・ライト監督は、なんでも、デビッド・リンチ監督とスタンリー・キューブリック監督の熱烈なファンらしいです。二人とも影のあるダークなイメージも兼ね備えている監督ですね。

で、ライト監督の両親が人形劇団をやっていて子役もやっていたこともあって、ダークなグリム童話に幼い頃から親しんでいたそうです。また、ディスレクシアという難読症というんですか、識字障害とも言いますが、そのせいでデビッド・リンチの語り口がとても肌に合ったのだとか。

そんなこんなで、このハンナという難しい役に『つぐない』でも13才の役をやってもらったことがあるシアーシャ・ローナンというアイルランド生まれの異色の新人を使い、これがまた功を奏してます。強い少女はえらく不気味です。不気味ですけど、おきれいで・・・

そして、このシアーシャ・ローナンは、今年のアカデミー賞でも、『ブルックリン』という映画で主演女優賞にノミネートされるなど、今、注目の女優でもあります。もはや21才という堂々たる若手の女優さんになってしまったシアーシャですが、まだあどけなさが残る当時の姿とのギャップも楽しめますね。今後の活躍が期待されるrising starのシアーシャには注目です。

「ハンナ」 トレーラー

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