1970~80年代に、「コカイン王」として世界中に悪名を轟かせたコロンビアの麻薬王パブロ・エスコバル(下の写真)
その生涯を描いたNetflix 独占配信のオリジナル・実録ドラマが『ナルコス』です。Netflix では、シーズン1がすでに配信され、大きな話題を呼びました。
そして、シーズン2の製作が発表されたのが去年の9月。それから一年が経ち、今年の9月2日には配信が予定されて、期待が高まっていた方も多いでしょう。
このシリーズの配信を揺るがす大問題が発生!
というのも、死んだパブロの実兄であるロベルト・エスコバルが Netflix に対して10億ドルというとてつもない賠償金を要求しているというのです。
パブロが一代で築き上げたコロンビア最大の麻薬密売組織は“メデジン・カルテル”。タイトルの『ナルコス』の「ナルコ」というのは、麻薬の密売人を表すナルコ(フィカンテ)の略です。
narcoとかnarcというと、英語では普通、DEA(アメリカ麻薬取締局)など麻薬関係の捜査官を指すのですが、ここではスペイン語の前者のノリに沿ったタイトルをつけたというわけです。
実兄のロベルト(下の写真)は、数十億ドルを動かしたと言われるこの巨大麻薬組織の生き残りで、弟パブロが牛耳っていたギャング組織の計理担当者、つまり金庫番でした。また、組織の暗殺団の責任者でもあったと言われ言われています。(そう聞いただけでもブルってしまいそうですが)。
その彼が何にいちゃもんをつけてるかというと、タイム誌によれば、このヒット番組の2シーズンの内容をチェックさせてもらいたい、そればかりでなく、それまでの内容に対して応分の補償額を払ってもらいたい、ということで Netflix に直訴状を送ったそうです。
何に対しての補償か?
ロベルトは、『ナルコス』のシーズン1には事実とかけ離れた描写や間違いがあると主張しています。Netflix に送りつけた手紙においても、
マデリン・カルテルの数少ない生き残りであるわたしは、弟パブロに最も近い人間であり、パブロは死ぬまでわたしの弟である。作品に信憑性があるかどうか判定できる人間は、わたし以外にはこの地上に誰一人残っていないんだ。
と豪語しているとか。
脚色のしすぎか、はたまた手抜きか?
“麻薬王”として知られた弟のパブロは、1993年にコロンビア警察に射殺されてはいます。
兄のロベルトも、カルテルでの役割を問われて投獄された経験を持ちます。
そして、ロベルトはその経験をもとに、2009年には「計理士の物語」という本を書いており、直訴状の中でも、「エスコバルという家名の使用権は、株式譲り受け人である自分が持っていると」主張しています。
その彼をいちばん怒らせたのは、シリーズの中に登場する計理士はエスコバルの兄弟ではなく、さらにその人物がカルテルを首にされ、あげくの果てに、CIAの内通者だという描写になっている、その部分のようです。
しかも、ロベルト・エスコバルらしき人物は、番組の中に一度も登場してこないのです。
ロベルトの会社は、エスコバルという家名の権利登録をした後、番組が放映される前に、Netflix にコンタクトを試みたそうですが、なしのつぶてだったというのも、彼を怒らせた原因の一つなんでしょう。
ロベルトの会社側は、シーズン2が放映される前に、番組の内容をチェックし、パブロとロベルトの描写が正確になされているかを視聴者にも家族に保証することが大事だと主張しています。
必要ならば Netflix に対して法的処置をとり、10億ドルというとてつもない補償を要求することも辞さないと意気盛んなようです。
いったい全体どうなるのか!?
話し合いに応じないなら、『ナルコス』の放映は許さない。もしこちらの要求する補償額を払わずに放映するなら、覚悟しろということらしいのです。「俺はサーカスの猿じゃないんだ。二束三文で動くような人間ではないからな」と、吐き捨てたようです。
80年代、90年代の羽振りのいい頃は、10億ドルなんていう額はざらだった。『ナルコス』は金のなる木。それぐらいは痛くもかゆくもないだろうという論法のようです。
確かに、札束を勘定するための輪ゴム代だけで、ひと月で2,500ドル(約30万円)はかかったという話ですから、どれだけのお金が動いていたかが想像がつくというもの。
果たして、『ナルコス』のシーズン2の運命はいやに?! ますます、このシリーズから目が離せなくなりましたね!
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