悪趣味なホラー映画をお探しですか?
みなさん、トラウマになる程の衝撃を受けた映画ってありますか?
トラウマになる要素にも色々あって、例えば「ダンサーインザダーク」のように欝(うつ)になる系とか、「耳をすませば」みたいに在りし日の青春が輝きを失った今の自分に襲ってくる系とか。
あとはムカデ人間みたいなスプラッタ映画がトラウマになりやすいですね。
で、今回ご紹介する「ホステル」もスプラッタ映画なんですが、トラウマになるかならないか微妙なラインに立っているんですよ。
いっそのことトラウマと化してくれれば「二度と見るか!」って気になるんですが、グロさも絶妙でホラー要素に加えてスリルアクション的な感じがするから時間が経つと「また見てみるか」って気になってしまうんです。
本当にスプラッタが苦手な人は避けるべき映画ですが、ある程度耐性のある人には一度くらい見てもいいんじゃない、なんて背中を押しても背徳感がないライン。わかりますか?
とにかく内容を説明していきましょう。
前半、中盤、後半で全く違う色
「ホステル」が他のホラー映画と比べて違うのは、ストーリーが進むにつれて映画のテイストが全く変わってくることです。
よくホラー映画で取られる手法が
安穏→狂騒
という展開の持って行き方。
日常が壊され恐怖のどん底に落とされる一般人というのが共感されやすいのでしょうか。王道的なホラーといえば、この形です。
しかしホステルは違います。
ホラーとエロの親和性
まず主人公ら三人のバックパッカーはヨーロッパを旅する青年たち。行く先々で綺麗なお姉ちゃんとイイことしたり、いけない享楽に興じたりしています。
ホラーとエロの親和性って、なんでこんなにも高いんでしょうか。
一説には性行為(もしくは性的なもの)が生の律動であり、死との対比を表現できるからと言われています。
その他にも性的な興奮が恐怖という感情に類似している、なんてのも言われていますね。
少し話が逸れましたが、「ホステル」の前半はほとんど淫らなシーンで埋め尽くされています。まぁ、ホラー映画の鉄板ですね。
しかし舞台がスロバキアのホテルへ移ってから、徐々に毛色が変わってきます。
静かなスロバキアの街でも同じように女性との快楽に勤しむ一行ですが、明くる朝に一人が姿を消してしまいます。
ここからホラーチックになってくるんです。静かで落ち着く街並みが、急に恐怖の舞台へと変貌するのです。
行方が知れなくなったバックパッカーの一人が消えた翌朝、もう一人も忽然と姿を消します。
消えたバックパッカーは暗い地下の部屋で無残に、手酷く、グロテスクに殺されていくのです。踵を切られるシーンは、痛みが画面越しに伝わってきましたね。
そして仲間を探していた最後の一人も、同じく捕まり拷問器具やチェーンソーで殺されかけます。
で、ここからが他のホラー映画と違うところ。なんと彼は絶望的な状況の最中、脱出します。
思えばレザーフェイスやチャイルドプレイなんかも、最後は主人公たちが勝利して生きながらえる展開ですが、ちょっと事情が違うんですよ。
主人公は脱出し追ってから逃れながらも、
自分をハメ、友人を殺した奴らにお礼参りします。
逞しいです。逞しすぎて「あれ?スリリングアクション見ていたんだっけ?」と錯覚してしまいます。
ただカタルシスを感じるはずが、別にスカッとしないのはなぜでしょうか。
それは本編を見ると、あなたも感じるはずです。
この映画に込められたメッセージ
大層なことを言うようで、申し訳ないですが「ホステル」に込められたテーマは人間の根幹にある凶暴性や残虐性ではないでしょうか。
人を陥れたり、傷つけたりすることで得られる優越感。それは異常性ではなく、人の心に巣食っているような気がしてならないのです。
そもそも目を背けたいはずのスプラッタに視線を向けてしまう自分が、それを立証している。そう思います。
あなたの中に眠る残虐性が呼び起こされても、私は責任を取りませんよ・・・。
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