「トレインスポッティング」ドラッグの危険性と生き方を模索する若者の姿を写すインディーズ映画

「インディーズ映画」

自主映画(じしゅえいが)とは映画の種類を指す。自主制作映画(じしゅせいさくえいが)、インディーズ・ムービー、インディペンデント映画、同人映画などとも呼ばれる。

日本では商業映画で無いもの、欧米ではハリウッドのメジャースタジオ6社の傘下に属していないものや単に自己資金で制作されたもの(ジョージ・ルーカスのスター・ウォーズ新三部作など)である。

wikipedia「自主映画」より引用

インディーズ映画って、結構定義が難しいと思うんですが個人的に「全国の映画館で放映されていない映画」はインディーズ映画という括りにしています。あの超名作アニメ映画「時をかける少女」も都内の一部の映画館で上映されていたのからインディーズですね。

Netflixでもインディーズとカテゴライズされている映画がたくさん公開されています。インディーズ映画もなかなかオツなもので、改めてラインアップを見ると結構面白そうな映画が転がっているんですよ。

今回紹介するのはインディーズでもメジャー(矛盾)どころの「トレインスポッティング」です。ユアン・マクレガーの出世作で、ドラッグに溺れる若者たちを鮮烈に描いた映画として今尚世界中にファンがいます。合コンで好きな映画を聞かれた時用に見ておくといいでしょう。

しかも日本では現在ドラッグはかなりホット、というか敏感な話題。トークに自信がない人でもコミュニケーションの中心に居座れるはずです。いざ「トレスポ」の世界へレッツゴー!

覚えのない青春時代に記憶が重なる

舞台となっているスコットランドはグレートブリテン及び北アイルランド連合王国(イギリス)を構成する国の一つで、独立国家ではありません。

イギリスの支配国、という劣等感(または将来への不安)がそうさせるのか登場する若者は心に闇を抱え、ほとんどドラッグに溺れています。そうでなくても喧嘩ジャンキーだったり、高校生なのに大人をたぶらかしワンナイトラブを楽しんだり「世も末」と言いたくなる奴らばかりです。

しまいにはドラッグ欲しさに恐喝、老人ホームからテレビを強奪など絵に描いたようなロクデナシさを露呈する始末。でも不思議と共感してしまうんですよね。もちろん、そんな経験はありません。当ファンサイトの読者の中にだって若い頃ヘロイン漬けだった人はいないと思います(そうであってほしい)。でもこの映画を見て等身大の青春に懐かしさを感じるという現象が起きたんです。ふ~し~ぎ~。

もちろんヘロインを愛する若者たちと自分の青春時代が重なるわけではありません。かすりもしません。ですが遠い記憶の中に眠る大人への反抗精神や理想との葛藤、中二病的な思考回路が呼び起こされるんです。あの時にこんなこと悩んだなぁとか、あの子どうしてるのかなぁ、とか。

この映画は生々しくて人によっては見てられないかもしれません。注射器のシーンとか、ちょっとやめてほしいとすら思います。でも見ちゃうんですよ。退屈な日常から逃げたい、目を背けたくなる現実をぶち壊したい。そんな湧き上がる衝動とエネルギーをぶつける場所を知らない若者たちの葛藤に、我々大人も向き合わなきゃいけないって本能的にわかるんですかね。

ヤバすぎるドラッグの世界

主人公のレントンたちが夢中になるヘロインは「薬物の王様」と呼ばれ多幸感、依存性、そして禁断症状の悲惨さは群を抜いていると言われています。特に映像で語られる禁断症状はかなりホラーでした。

レントンが体験した禁断症状の中でも一番に恐ろしかったのは幻覚でした。いるはずのない仲間たちが部屋の中で自分に語りかけ、強迫観念に苛まれます。次々と現れる知人たちの中に紛れて天井を這ってくる赤ん坊がいるんですが、これはマジでやめて欲しかったです。その赤ん坊は友人のシック・ボーイとジャンキー女の間で生まれた子供なんですが、仲間たちとトリップしまくっていた日々の中で放置され亡くなってしまいます。そのシーンもかなり衝撃的でしたが、その赤ん坊が天井を這ってくるとか意味わかりません。視聴しながら「レントン、お前のせいなんだから何とかしろよ!」ってツッコんでしまいました。レントンは怯えるだけです。

さすがにジェダイマスターのユアン・マクレガーでも幻覚には勝てないか…とも思ったのですが、この頃の彼はまだパダワン(弟子)だから仕方ないですね。見る人によってはトラウマ間違いなしです。

他にもユアン・マクレガーがヘロインのオーバードーズ(過剰摂取)でぶっ倒れるシーンもリアリティがあり、映画に託けて本当に打ってんじゃない?と疑いたくなるほど。出世したのも頷けます。

トレスポはただの啓蒙映画ではない

ドラッグの危険性と生き方を模索する若者の姿。確かにどちらも「トレインスポッティング」が訴えかける強烈なメッセージですが、果たしてそれだけでしょうか。

スコットランドの社会背景や、日本人には馴染みのない欧州の抱える問題などかなり多くのテーマがこの映画に盛り込まれています。考察しようと思えば、どこまでも深いところへ踏みこめる、底知れない作品と言っていいでしょう。

というわけで、合コンに行って「好きな映画?う~んトレインスポッティングかな」と宣言すれば一目置かれるはずです。恐らくサブカル系が擦り寄ってくるか、これ言っとけば間違いない映画を挙げてサブカルぶってんじゃねーよと嘲笑されるか、普通にひかれるかのいずれかのパターンに当てはまります。自己責任で。

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