この価格で決まり? Netflixの日本展開時の月額料金を再び大胆予想

2015/8/24 追記
ついにNetflixの月額料金が正式発表されました。

以下の情報は、正式発表前の参考情報としてお楽しみください。


ネットフリックスがまだ日本進出を発表する2日前、本ブログでは日本進出時の月額料金の予想する記事「月額料金はどれぐらい?Netflix日本進出時の価格を大胆予想」を掲載しました。

そこでは、以下の通り3パターンの価格設定を行っています。

上記の戦略や外国企業に対する消費税徴収の動向を考慮にいれて、Netflixが日本でサービスを提供する際の月額料金をズバリ予想しましょう。

ベーシック: 920円(税込)
スタンダード:980円(税込)
プレミアム:1380円(税込)

本記事では、最近の業界動向も考慮に入れ、より確からしい月額料金の予想を再び行います。

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ネットフリックスの戦略予想

もし、自分が経営者だったら日本展開時の値付けをどうするべきか? サービススタート時から爆発的に加入者を増やし、収益性も確保するためには・・・とても悩むと思います。

なんといっても「値付けは経営」ですから、これを間違うと将来的に大きな禍根を残してしまいます。

ですので、慎重かつ大胆に、日本での料金設定と販売戦略について考えました。

結論から述べると

  1. 価格帯は2つのみ。スタンダード980円、プレミアム 1480円。いずれも税別。
  2. 2015年年内はずっと無料お試し期間
  3. 2016年以降、申し込み後は30日間の無料トライ

とするのが、ネットフリックスが日本で成功するためのベストな戦略と考えます。

以下ではその理由を述べたいと思います。

価格帯は2つのみ、お得感を高めつつ客単価も向上

まず、米国で展開されている3つのサービス(ベーシック、スタンダード、プレミアム)は、ベーシックとプレミアムの2つに集約します。

これはHuluやU-NEXTがスタンダード相当のもので日本に展開しているため、1端末でしか見られないベーシックにはほぼ存在意義は無いからです。

であればユーザー単価を下げるきっかけをつくらないためにも、ベーシック価格は日本では採用しないのが良いと考えます。また、選択を二つに限定することで、若干ですが管理コストの低下も期待できるでしょう。

また、スタンダード980円、プレミアム1480円の値付けの根拠ですが、Apple の価格戦略を参考にしています。

まず下の表をご覧ください。これは、iPhone 6、新しいMacBook 、そして先日発表された Apple Music の米国と日本での価格からドル・円レートを計算したものです。

米国価格($)日本価格(円)レート(円/$)
iPhone 16G64986,800133.74
新しいMacBook
(256GB)
1,299148,800114.55
Apple Music
(個人向け)
9.9998098.10
Apple Music
(ファミリー向け)
14.991,48098.73

いかにAppleが iPhone で暴利を貪っている儲かる値付けをしているかがわかりますね。一方、Apple Music については極めて戦略的な価格設定となっています。

これは、LINE MUSIC や AWAなど、同様のサービスが展開されている中で、競合サービスと同価格帯にせざるを得なかったというのが実態だと思われます。

また、さらなる低価格でサービスを提供するといった価格競争に持ち込むのではなく、3ヶ月の無料期間を設定することで、メリットを十分に体感させてユーザーを取り込む戦略を取っています。

実際、3ヶ月もの間ストリーミング配信を便利に使っていれば、その便利さはかけがえの無いものに感じることでしょう。そうなれば、家族で共有できるファミリープランに月額1500円を喜んで出すユーザーは相当の数にのぼると思われます。そこがまさしくAppleの狙いなわけです。

では、ネットフリックスに話を戻します。

ネットフリックスにも Hulu や U-NEXT、dTV といった国内での先行サービスが存在する中に展開しようというのですから、価格面でもある程度の訴求が必要となってくるでしょう。

いくら観たいコンテンツがたくさんあるといっても、月額料金が高いと加入できないと感じるユーザーも多いはずですからね。

ですので、一つのベンチマークとして、完全な競合ではないが類似サービスである Apple Music に価格を合わせることは、戦略的にも合理的だし、実際とても有効だと思われます。

また、税別としたことは、表記上は軽微な修正ですが、財務的に非常に重要となります。Apple Music では税込980円としていますが、近い将来に消費税が引き上げられる状況において、税込とするのは将来的に問題となる可能性が高いと思います。

これは私見かもしれませんが、動画配信サービスの価格が税込か税抜きかという問題については、生活必需品に対するそれとは別次元のものではないでしょうか?

つまり、税込で980円なのか、税抜きで980円なのかについては、ネットフリックスに加入しようとする人にとってそれほど重要な問題ではない・・・これが現実ではないでしょうか?

仮に税込であることを理由に加入しない人がいたとしても、その割合が現状の消費税率よりも低い7%以下であれば収益上はメリットが出てきます。

したがって、収益を最大化させる観点からは、税抜き価格で表示すべきだと考えます。

2015年内は期間限定の無料お試し期間を継続

これはやや大胆な施作と感じるかもしれませんが、Apple が Apple Music に対して行っていることに比べると、ずっと小規模なマーケティング施作と言えます。

Apple は Apple Music のサービス対象となる iPhone や iPad など、膨大な数の端末をこれまでに出荷しています。また、今秋に発売される iPhone 6s や 6s Plus は過去最大の売れ行きになると思われます。それら全ユーザが 3ヶ月もの間の無料で試用できるという太っ腹な戦略です。

しかも、その間の著作権についてはアーティストに支払うということですから、かなりの費用を持ち出すはずです。

なぜ Apple はそこまでするのか? それは、サブスクリプション型の課金モデルがあまりにも魅力的だからです。継続的に入金が期待できるユーザーを囲っておけるということは、経営計画を立てる上でこの上なく重要です。

現在はストリーミング音楽配信サービスが乱立している状況ですが、そこで勝負に勝つためにはハードウェア販売で得た莫大な利益に基づく圧倒的な財力をベースに、競合が継続することが難しいキャンペーンを仕掛けるというのが、まさに強者のApple の戦法だといえます。

一方、ネットフリックスの場合はどうでしょうか?

ネットフリックは近年の業績が好調であることや株高上昇によって、財務的には余裕のある状況です。

いまネットフリックスが最も欲しがっていることは、過去に他者が成し得なかった勢いでの会員数の獲得による、日本市場での垂直立ち上げでしょう。ライバルを出し抜くスピードでユーザー数を増やすことに、全神経を集中していると思います。

そのためには、ネットフリックスが日本で成功するために実行すべき6つの施策で述べたような方策が必要となるでしょう。

また、「ネットフリックスとフジテレビが独自番組の制作で合意!日本展開のロールモデルになるか?」で紹介したような、コンテンツの充実も必要となるでしょう。

ここでは、Apple Music の戦略も参考にして、一つ違った施作を検討してみます。

それは、2015年の年内はすべて無料で開放するという破壊的なマーケティングの実施です。

ネットフリックスの魅力や便利さは、実際に使ってみないと体感できない部分もあります。逆にいうと、一度使うと、もう無くてはなら無いという人が続出することでしょう。

ではどうやっ潜在ユーザーの関心を引きつけるのか? もちろん、これまで実施している「30日間無料」というキャッチコピーも有効でしょう。

しかし、競合である Hulu は2週間、U-NEXT は16日間のお試し期間がすでに展開されていて、それに対して30日間といってもそれほど大きなインパクトはありません。

では3ヶ月間を無料とするのはどうでしょうか? 確かにインパクトはありますが、恒久的な施作とすることは財務表に傷をつけかねません。

では、最初の立ち上げ時のみ3ヶ月程度の無料キャンペーンを実施するというのはどうでしょうか?

ネットフリックは2015年秋にサービス開始と謳っていますが、おそらく10月あたりからスタートすると思われます。

3ヶ月間の期間と言えば、ちょうど2015年の年内いっぱいになります。立ち上げ時点ならまだユーザー数は少ないでしょうし、恒久的な施作ではないので、キャンペーンによる支出も限定的でしょう。

何と言ってもこのインパクトあるマーケティング施作については、メディアがこぞって紹介することでしょう。その宣伝効果たるや金額に換算すると、巨額の費用に相当すると思われます。したがって、メディアへの露出頻度の増加も視野に入れると、実質的な損失はほとんど無いといっても過言ではないでしょう。

2016年以降は通常どおり30日間の無料トライ

2015年年内、雑誌などの各メディアもさまざまな特集を行うことでしょう。景気回復の効果もあって、冬のボーナス商戦ではネットフリックス対応の4Kテレビが飛ぶように売れるかもしれません。

アーリーアダプターによる盛り上がりがピークに達した頃、2016年初頭から春にかけて、第2波の加入ブームがやってくると思われます。

しかし、ここではしっかりと収益を上げる必要があります。したがって、一般ユーザーに対する長期間の無料キャンペーン施作は行わず、標準的な30日間の無料トライを提供することにとどめます。

年末年始の爆発的なネットフリックスユーザーの増加に伴って、ネットフリックスの認知度は急上昇していますので、あとは口コミでの加入や、店頭での申し込みだけでも十分な加入者数の増加が期待できると思われます。

要するに、2015年末のスタートダッシュキャンペーンによって、日本におけるネットフリックスの勢力が決まるといっても過言では無いと、考えています。

ネットフリックスによる日本市場の垂直立ち上げ戦略まとめ

ネットフリックスが日本市場に展開する際に有効と考えるマーケティング戦略を「勝手に」検討しました。

結論は次の通りです。

  • 月額料金は、使用できるオプションに応じて980円または1480円(税別)
  • 2015年中に申し込めば、年内もしくは30日間のいずれか長い期間は無料

ネットフリックスさん、いかがでしょうか?

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