今、Netflixで松本人志が熱い!
テレビでロングコントを見る機会がめっきり減りましたね。お笑いといえば大掛かりな舞台セットと綿密に練られた5分〜10分のコントが主流でした。いつの間にか淘汰されてしまい「ごっつええ感じ」や黎明期の「めちゃイケ」で育った私としては寂しい限り。
一説によると現代の若い視聴者は、ロングコントという長丁場に耐性がないらしいですね。Youtubeやニコニコ動画で多く再生されている動画は5分未満という統計があり、手軽でサクッと楽しめる映像コンテンツが好まれているとか。
稀代のコント師でもあるダウンタウンの松本人志も、めっきりコントを作らなくなってしまいました。寄る年波には勝てないのかもしれませんが、一ファンとしては再び「ごっつええ感じ」のようなコントが見たいものです。
そんな私の願いを密かにNetflixが聞き入れたのか、なんと松本人志が手がけた映画全4本と伝説のコント集「HITOSI MATUMOTO VISUALBUM」が配信されました。
映画はさておき、このコント集は必見です!
笑いとはなんぞや
私はお笑い品評家でもなければお笑いの伝道師でもないので、滅多なことは言えません。ただ日常生活の様々な場面で笑いをこぼすだけの感性は人並みにあります。例えば理不尽な状況に置かれた時の自嘲。例えば絶対に笑っちゃいけないのに、その空気がおかしくて吹き出しそうになる時の笑い。もう世の中には笑える要素がてんこ盛りです。
「HITOSI MATUMOTO VISUALBUM」はそんなミクロサイズの笑いを追求した、究極のコント作品集と言っていいでしょう。とにかく着眼点が鋭く、些細なことをコントに仕立て上げて笑いへ結びつけるセンスったらありません。
個人的にオススメなのが「ゲッタマン」というコントです。特撮番組のヒーローにお金をかけすぎたため、怪人がショボくなってしまったことに納得のいかない原作者。困惑するスタッフたちに原作者が提案したのは、スタッフも含めて衣装を一旦脱ぎ捨て、ジャンケンで勝った順に衣装を一枚ずつ選んで着ていくという理不尽な解決策でした。
主役であるヒーローを差し置いて好きな衣装を選んでいくスタッフたちと、野次を飛ばされまくるヒーロー役の役者、長いものに巻かれる映画監督、こんな時でもおべっかを欠かさない脇役俳優など、全てがリアルです。この空気感がたまりませんね。お前たち番組作る気あるのかよ、というツッコミと同時に「混乱した現場って、こういう意味のないこと始めるよね」という皮肉さも詰まった名作です。
笑いのカタチは一つじゃない
「HITOSI MATUMOTO VISUALBUM」を視聴して大爆笑するようなことは一切ありません。下手すると内輪受けしかしないような、ニッチな笑いがほとんどです。松本人志のすごいところは、それを視聴者が共有できる笑いに昇華させるところだと思います。
腹を抱えて釘付けになるようなお笑い番組もいいですが、ちょっと意味深な捻くれた笑いもたまにはいいものです。ファンが揃って名作だというのも頷けます。
過激なネタも含まれているので万人向けではないかもしれませんが、笑い疲れた人にぜひ見て欲しい作品集です。Netflixで好評配信中。
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