見終わった後に、なんとも言えない感動と、恐怖と、震えと、動悸、息切れを経験したい人、超必見!!!
Netflixで配信中の韓国映画「チェイサー」はクライム・サスペンスの真骨頂とも言える素晴らしい映画の一つに挙げられるでしょう。
これは・・・本当に、ヤバい!凄い!!!面白い!!!!
本当にあった事件を元に作られた、圧巻の衝撃作です。
さあ、心して、その内状に迫りましょう。
「チェイサー」ってどんな映画なのか・・・?
観る前のご注意
はじめに断っておきますが、これは、Loveが溢れる甘ったるい韓国ドラマではありません。
イケメンは一人も出てきません。
鍛えに鍛え挙げた、美しいボディーを見ることもありません。
テクニック溢れるカーチェイスや、思わずうっとりする粋な銃撃戦なんかございません。
そこにあるのは、ただただ異常で、汗と泥と血にまみれた、陰鬱な犯罪の世界。
時に目を覆いたくなるようなシーンが出てくるので、弱い人は要注意です。
映画「チェイサー」は、実際に韓国で起こったユ・ヨンチョル連続殺人事件を元に、2008年に製作されました。
韓国のアカデミー賞と言われる「大鐘賞」で主要6部門を独占、その年の大韓民国映画大賞を受賞した大ヒット作です。
映画の評価サイトIMDb:7.9/10、Rotten Tomato:85%、Roger Ebert:3.5/4と、かなりの高評価を得ているこの作品。
この作品の凄さに、アメリカのワーナ・ブラザーズが権利を取得し、あのレオナルド・ディカプリオがリメイク版を作る予定になっていますが、このオリジナル以上の映画が作れるのか、疑問視する声もあがっているようです。
「チェイサー」のあらすじとは…
主人公は、デリヘルの女の子を斡旋する、刑事崩れの冴えないおっさん、ジュンホ。
デリヘルの女の子たちを、ただの商品としてしか見ておらず、その扱いはひどいもので、見ている誰もがジュンホに嫌悪感を抱くでしょう。
彼の登場シーン第一声は、「あのくそ女、後で殺してやる。」
仕事中にいなくなった女の子を、ただただ逃げたと思い、手付金の徴収だけ気をもむ、そんな男です。
しかし、いなくなる女の子たちがいつも最後に仕事をしていたのが、電話番号4885というある一人の男だということに気がついたジュンホは、単身調査に乗り込みます。
が、その男の所に、今ちょうどデリヘルの女の子、ミジンを派遣したばっかり。
さっきまで繋がっていた携帯は繋がらず、車はあれど場所はわからない。
元刑事の勘が働き、偶然にも、番号4885の男を見つけますが・・・・。
ユ・ヨンチョル事件とは・・・?
さて、ここで簡単に実際に起こったユ・ヨンチョル事件について触れておきます。
ユ・ヨンチョル事件は2003年から2004年にかけて、韓国のソウルで起きました。
犯人のヨンチョルはもともと美術の才能に長けており、芸術学校への進学を希望していましたが、色覚障害者であったため入学を断られ、そこから少しずつ転落の人生を歩むことになったようです。
恵まれなかった人生の恨みなのか、うまくいかなかった結婚への腹いせなのか、主に富裕層の高齢者と風俗嬢を狙って、合計20人もの猟奇的な惨殺事件を繰り返しました。
逮捕当時、33歳。2005年に死刑が宣告されていますが、1997年以降死刑を執行していない韓国では、その死刑がいつになることやら・・・未だ、刑務所に収監されています。
この事件は、アメリカの雑誌「Life」にて、世界の30大連続殺人事件犯の第13位に挙げられているそうです。
本当に、おぞましい事件です。
「チェイサー」の求心力の源は何か
前述したように、愛も、イケメンも、美しい映像もない映画ですが、見始めたら、その圧倒的な求心力で画面から一時も目が離せなくなります。
演技で魅せる、ベテラン俳優たちの熱演
その一つは、優れた俳優による汗みどろの熱演です。
メインキャラクターを演じるのは、キム・ユンスクと、ハ・ジョンウ。
この二人が、もうね〜マジですごい。。。もう、マジで、すごいんです!
「チェイサー」(追跡者)のタイトル通り、キム・ユンスク演じるジュンホは、犯人を追って、走って、走って、走りまくります。
このおっさん、この映画のせいで寿命縮まってるんじゃないかと思うほど、走って、殴って、暴れて、また、走って、見てるこちらを息切れ状態にさせます。
対する、ハ・ジョンウ演じるヨンミンは、ぱっと見、普通のどこにでもいるような青年ですが、しかし、ふたを開ければ、真っ黒な異常者。
異常者の演技は、脱帽モノです。
彼の異常っぷりに恐ろしくなった人は、是非とも映画「依頼人」を観てみてください!(Netflixで配信中です)
全く違う人格をしてるので、ああ、あれは演技だったんだ〜〜、とホッとすると同時に、彼の演技力の高さを再確認できます。
現実は、映画よりも残酷だ!
ハリウッド映画に慣れ親しんだ人なら、どんなに全体絶命の場面でも、どこかでスーパーヒーローの登場での救いがあることを期待するもの。
しかし、現実には、スーパーヒーローなんていないですよね・・・
そんな悲しい残酷な現実を、鮮烈に見せつけるのが、この「チェイサー」という映画です。
大人びていた子供が車の中で泣き叫ぶ姿や、やっとの思いで逃げ出した女の最後や、惨殺されるちょうどその時、何も知らず昼寝している警察の様子、などなど、胸に迫る、傑作シーン満載のこの映画。
唯一の救いが、結末までの間に、殺人鬼に向かって決死の覚悟で戦うまでになったジュンホの心の変化でしょうか。
まとめ
あまりの衝撃に、観た後しばらく放心。その後、すぐさまマイリスト入りで何回も見直しました。
これほどの映画が、今の日本で作れるのだろうか・・・とふと思い、韓国映画の質の高さを思い知った作品です。
痛いのは嫌い、とか、気持ち悪いのはちょっと、とか、悲しいのは嫌だ・・・、とか言わず、とにかく観て欲しい、そんな作品です。
韓国映画「チェイサー」は Netflix で絶賛配信中です!
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