一気見確定?Netflixのオリジナル・ドキュメンタリー『殺人者への道』

Netflix が11月9日にオリジナルのドキュメンタリーを製作すると発表してから1か月ほど経った、つい一週間ほど前の12月18日、ついに独占配信が始まったという興味津々の企画について今回は書くことにしましょう。

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殺人犯はいかにでっち上げられるか

その企画とは「殺人者への道」というやや物騒なタイトルの野心的なドキュメンタリー・シリーズで、ローラ・リッチアーディとモイラ・デモスという二人の監督が2005年に掲載された新聞記事に興味を持ち、そこから30年以上前に現実に起きた事件を掘り起こし、何と!10年もの長きにわたって丹念に入念に取材を積み上げ、まとめ上げたという、これぞ入魂という言葉こそふさわしいのがこのドキュメンタリー・シリーズです。

Making a Murdererという原題からすると、「殺人者への道」という直球のタイトルは、やや踏み込みが足らないようにも思えますが、「殺人犯を作ること」という直訳にいったん戻して考えると、「殺人犯はいかに作られるか、でっち上げられるか」という製作側がタイトルにこめたニュアンスが汲みとりやすくなります。

“殺人者”に仕立てあげられたスティーブン・エイブリーという人物は、30年前の1985年にレイプ事件の罪が確定して一度服役し、18年間、刑期を務めあげているのですが、エイブリーとその一家は五大湖に近いウィスコンシン州のマニトバ郡においては部外者的な立ち位置で、周囲は農業コミュニティなため、スクラップ業を営む一家は浮いた存在だったようです。

1985年に逮捕される以前、スティーブンは窃盗と動物虐待の犯罪歴もあったため、その予断も働いてか、18年間の刑期を務めますが、DNA鑑定によって無罪と判明し、晴れて釈放されます。

調べれば調べるほど謎が深まる

アメリカにはイノセンス・プロジェクトという無実の人の潔白証明のために動いてくれる非営利活動の団体があって(こういうとこがさすがアメリカだね!)、彼らの活躍によってエイブリーは無罪放免になったようなのですが、実はマニトバの農業コミュニティは政治と法律の世界を牛耳っているようで、そのへんもどうも怪しいという匂いがしてきます。

エイブリーは失われた自分の人生を取り戻すため郡に対して3600万ドルを要求する訴えを起こしますが、そんな折も折、テレサ・ハルバックという女性が殺害されてしまうのです。彼女は業界紙の取材でエイブリーのスクラップ場で写真撮影を行っていたのですが、その直後行方が分からなくなり、彼女の車と焼かれた遺体が後にエイブリーの敷地内で発見されてしまうのです。

しかも、エイブリーの寝室から彼女の車のキーも発見され、さらにその車のダッシュボードからは、エイブリーの血痕まで発見され、おまけに16才の姪が殺害の手助けをしたと証言して、彼はまさに四面楚歌の状態になってしまいます。

シリーズの各話ではこういう証拠がどんどん積み上げられていくのですが、ところがところが、調べてみると現場検証など事件の捜査は実にずさんで、たとえば、血液サンプルは偽装の疑いがあったり、姪の証言が誘導尋問臭かったり、すべての証拠がどうも怪しいということになってきます。

さらにはエイブリーが訴えていた裁判の要求額が元の額より軽減されたりもして、裏に何かあるなというふうにもなってきます。どうも何かプンプン匂ってくるわけです。シリーズは真実というものがいかにあやふやなものであるかをこういう形で地道にじわじわと積み上げていくのです。

これぞドキュメンタリーの真髄

さてさて、捜査はどういう展開を迎え、この事件は最終的にどういう結末を迎えるのでしょうか?

全10回のエピソードで語られていくこのシリーズは、一見の価値ありの、いや一秒たりとも目の離せない、必見のドキュメンタリーと言えるでしょう?事実を知れば知るほど、真相があやふやになっていくというのは、人生でよく感じることではありませんか?

こういう逆説とジレンマを味わいながら、あなたも、この事件の捜査に加わり、じっくりと真相を追及してみてはいかがでしょう? いや、Netflixならではの、一気見してしまいましょう!!

実話こそフィクションより遥かに目が離せないですからね!

殺人者への道 予告編

コメント

  1. ほげ より:

    姪じゃなくて甥ですね。