『マイ・インターン』は、若い人にも団塊の世代にもおススメの〝グリーン・アンド・シルバー〟コメディだ!

シルバーはなんとなく意味が分かるけど、グリーンはいったいどういう意味?

そう思ったかもしれませんが、英語で green は「青臭い」とか、言葉は悪いけど「あいつは、まだケツが青いな」と言う時の「青い」・・・といったニュアンスを含みます。

当然のことながら、若い人にはあふれんばかりの若さがありますが、足りないものもあります。

経験です。いわゆる人生経験ってやつ。

ビジネス書を読んでも大して役に立たないと思っている人がいたら、まずこの『マイ・インターン』を「読む」べきでしょう。なんせ、2時間と1分で「読破」できるんですから。

ヤンエグの人、またはそれを目指す人には、絶好の時間短縮の人生経験になるでしょう。

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ストーリー

さて、どんなお話かというと、20代の頃から、いや大学生の頃にはもう起業して、CEOになってる人はざらにいるのがネット社会。ハーバード大学在学中にFacebookを立ち上げたザッカーバーグの例を引き出すまでもなく、そんな実例は枚挙に暇がありませんよね。

キッチンでファッションのネットショッピングをやろうと思い立ち、たった一年半で(!)従業員220人(!!)を抱えるまでに〝アバウト・ザ・フィット〟という会社を大成功させたヒロインのジュールス・オースティンは、まだ30代前半のイケイケCEO。

会社への送り迎えはお抱え運転手付きの車で、車に乗ってもスマホを片時も離さず、電話とメールを同時進行でこなすほどの超多忙ぶり。また、社内を自転車で行き来するほどのイラチぶり。ただ、その合間をぬってかかってくる母親からの電話はムダ話ばかりなのに、キレそうになりながらも、切るに切れないというやさしい一面も。

 

プライベートの方はどうかというと、リア充もいいとこで、5才らいの娘のペイジもいるけど、その世話はどちらかというと夫に任せきり。夫のマットは年上なんだけど、専業主「夫」なので、時間はたっぷりあるという具合。公私ともに順調な毎日を送っていました。

 

そんなある日、会社に研修という形で若いインターンたちが5、6人やってきます。その中に、なんと、ベンという70才の老人が一人混じっていたのです! えっ、何かの間違えじゃあ・・・それが、とぼけた味のロバート・デ・ニーロだから、なおさら笑っちゃいます。

なんでもそのコミュニティには、シニア・インターン制度というのがあって、社会貢献の一環なんでしょう。二十歳そこそこの若いインターンがずらっと並ぶ中に、ひとりシルバー・グレイのおじいさんが座ってるんですから、ギョッとするのも無理はありません。若者ばかりの社内で、当然、ベンは浮いた存在となってしまいます。

で、いよいよベンは社長のジュールスにお目通りということになるんですが、秘書の女性から、社長はまばたきしない人間をブキミがると聞いて、前の日に自宅の鏡の前でまばたきをする涙ぐましい練習をするなどして、まあ、なんとか面接は通過し、採用というところまでこぎつけます。

生真面目なベンは、超忙しい社員たちのデスクの乱雑さを見て、じっとしてはおられず、人知れず社内の片づけを買って出たり、社長の送り迎えをしている運転手が人の目を盗んで、ウィスキーをちびちび飲んでいるのを発見すると、自分が運転を買って出たり、目立たないけどじわっと、社員たちからの静かな人望を獲得していきます。

さらには、口の悪いジュールスがしつこい母親からのメールに対して、ひどい暴言を「書いたり」してしまうと、母親の家に忍び込んでまで、娘からの暴言メールを削除したり、ほんとに気働きがすごい人なんです。

元は、この会社と同じビルの、違う階にあったマーケティング会社の重役まで勤め上げた人ならではの人生経験が、じわじわと人の役に立っていきます。人を人とも思わない、青い、いや、若いジュールスの未熟を補っていくうちに、ついにジュールスはベンなしでは人生が立ち行かなくなってしまうのです。その手際のよさは、ぜひ本編で・・・。

この作品の見どころ

この若き女社長を演じているのが、『プラダを着た悪魔』でファッション業界を登りつめるヒロインを演じて注目を浴び、『レ・ミゼラブル』のあの怪演でアカデミー賞助演女優賞を獲得した実力派のアン・ハサウェイ。

一方、その相談役になってしまったベンを役者経験も人生経験も豊富なロバート・デ・ニーロが演じているとなれば、後はもう大船に乗ったつもりで、笑いあり涙ありの航海にどっぷりとひたれます。

 

この映画のアメリカ公開時の宣伝コピーには、Experience never gets old.とかExperience never goes out of fashion.とあります。

「人は老いても、経験は老いない」とか「経験には流行もへちまもない」ということです。

なるほど、言い得て妙な言葉ですね。

逆に言えば、いくら若いうちに成功しても、いくらお金はあっても、人生の機微や経験だけは買うことができない・・・そういうことを表現しているんでしょうね。

若さもいいが、老いるのいいと思わせてくれる、喧嘩両成敗な小品。

グリーンがもてはやされる昨今、この色はいいことばかりじゃなかったのか。

もちろん、青い無鉄砲が、ある意味、ジュールスの成功をもたらしたのですけれどね。若さと老いのどちらに軍配が上がるのか、あとは見てのお楽しみです!

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