なぜ不沈艦は沈んだのか?「男たちの大和 YAMATO」に学ぶ過去の失敗とは

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奉国の士、海に消ゆ

戦艦に興味のない方でも「大和」という名前は聞いたことがあるでしょう。太平洋戦争時下の日本で造船された史上最大の軍艦です。

大和に乗艦し戦闘に参加した乗組員たちの生き様を描いた人間ドラマ「男たちの大和 YAMATO」では、どのような思いで若者たちが戦闘に臨み、どのようにして大和が沈んでいったのかが語られます。

当時の映像を交え、戦争が生んだ悲劇をまざまざと見せつけられた時、「あぁ平和ってかけがえのないものなんだなぁ」と思い知らされました。

と、まぁ戦争はいけないことだというのは小学生でも知っていることであり、あえてこの映画でなければ学べなければいけない題材ではないと思います。

我々がこの映画、もとより軍艦 大和から学ばなければいけないのは「失敗がもたらすもの」だと私は思います。

大和は時代遅れだった!?成功がもたらした悲劇

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軍艦 大和は21世紀になった今日に至るまで世界最大の戦艦の名を欲しいままにしています。

もちろん当時の日本が持ちうる技術を全て集結した戦艦ですから、戦争のない今の日本で新しい巨大戦艦が作られないのは当然といえば当然かもしれません。

しかし世界的に見ても大きな戦艦を造船、保有している国はありません。

理由はただ一つ。必要ないからです。巨大戦艦はコストの割に戦闘において主力となり得るほどの力を失いました。それは航空機の目まぐるしい発展に起因しています。

海戦の要は航空機による制空権の掌握です。

となると、単体火力がウリである巨大戦艦よりも大量の航空機を積載できる空母の方が重要となります。太平洋戦争当時のアメリカはすでに空母の大量造船に着手しており、主たる海戦において運用し日本海軍を圧倒していました。

皮肉なことに、日本の最先端技術を詰め込んだ大和は時代遅れの遺物となってしまっていたのです。

そもそも大和造船はロンドン海軍軍縮条約の失効を前にした日本が「アメ公とブリカスどもが戦艦を作り始めるぞ!出遅れるな!」となり、最強の戦艦を目指したことに端を発します。

先の日露戦争で東郷平八郎率いる連合艦隊が、世界屈指だったロシアのバルチック艦隊を破ったのは、他でもない戦艦の活躍によるものでした。日本はこのことを踏まえ、大和造船に着手したのです。

結果はご存知の通り、大和は沈没。日本はそのまま敗戦となりました。

では日本が大和ではなく空母を造船していたら勝利を収めていたかというと、そうではありません。事実、日本海軍は空母も造船し実践に投入していました。

情勢が傾いてからの投入だったということもありますが、日本は資源に乏しくアメリカとの戦争を勝ち抜くだけの体力が元々ないのです。負けるべくして負けた、と言っていいでしょう。

しかし、そんな風に考えられるのも当時の資料が豊富にあり、先人の失敗を学ぶことができるからです。仮に私が戦時下の軍閥にいたからと言って、冷静に物事を見極められるはずがありません。

我々が学ばなければいけないのは、先見性を持つという不確かな感覚よりも過去を踏襲し、同じ轍を踏まぬよう最善の努力を尽くすということです。

これは企業の戦略などにも言えることでしょう。成功は結果をもたらしますが、失敗は学習をもたらします。過去を振り返らない潔さも大切ですが、過去を受け止めることも同じく大切だと思います。

それはそうと「男たちの大和 YAMATO」

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映画の中では登場人物の戦争観が前面に押し出され、私が先に述べたような先見性がどうとか過去がどうとか一切出てきません。

恋人と見ても純粋に感動できる良作ですので、ご安心を。ただ、こういった時代のバックボーンを知った上で見ると映画の新しい一面が見えることもあります。

また公開当時、太平洋戦争を敢行した日本帝国軍を賛美しているなどと批判されていました。それは製作者たちによって否定されていますが、大和がどういった戦艦で日本が当時どのような時代だったか理解していれば、戦争賛美の映画なんて声はそもそも上がらないでしょう。

そういう意味では、視聴者の目も試されるような映画です。

ぜひ、Netflixでご覧になってみてください。