海洋冒険映画好きなら、『コン・ティキ』は必見だ!

なんだ、コン・ティキって? そう思うかもしれないタイトルですけど、あるいはコンピューターに詳しい人は、オープン・ソースのOSを思い浮かべるかもしれませんね。ですが、そうじゃないんです。

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侮れないぞ、ノミネート作品

今から4年前、あのベン・アフレックとジョージ・クルーニーが共同プロデュースした傑作『アルゴ』が第85回アカデミー賞の作品賞を受賞した2013年。同賞の外国語映画賞に輝いたのは、『愛、アムール』というおオーストリアの映画でしたが、その陰に隠れてひっそりとノミネートされていた映画が、この『コン・ティキ』というノルウェーの映画なのです。

70年前の野生の証明

第二次世界大戦が終結して2年後の1947年、ノルウェーの人類学者で冒険家であるトール・ヘイエルダールは、モアイ島と南アメリカの彫像があまりにも類似している点にヒントを得て、そもそもポリネシア人の祖先は南アメリカから流れ着いた人々ではないのかという理論を証明するため、近代的な船ではなく、1500年前の古代人が使っただろう技術そのままに、筏でアメリカのペルーからポリネシアまでの4300海里の探検旅行を敢行するというとんでもない人物だったのです。

ここで、あの『セーラー服と機関銃』や『人間の証明』や『野生の証明』など、角川映画の大ヒットの生みの親である角川春樹氏たちが、「野性号」という古代船を建造して、日本民族が南の島から流れ着いたのを証明しようと、ルソン島から鹿児島までの航海を試みたのを思い出す人も多いかもしれませんが、あれでさえ、たかだか航続距離が約2000キロであることを考えれば、地図上、指で計っただけでもその3倍から4倍の距離があります。まあ、古代人と同じ技術で試みるという点では、同一線上にある行為ではあるのですが・・・

西欧では狂人扱い

当時、ポリネシアの人々は海流の流れからいっても西から流れ着き、いわゆる西周りで定住したという学説がもっぱらの常識で、ヘイエルダールは英国の王立地理学会にも応援を掛け合いますが、「東周りなどとんでもない!」とハナから相手にされずほとんど狂人扱いされます。

それほどのとんでもない蛮行であったわけです。 

プロデューサーとしても天才的

セールスマンは右から二人目

それでも、ヘイエルダールは自説を曲げようとはせず、資金集めに奔走し、それがまたドラマをじわじわと盛り上げます。ヘイエルダールの発案に対する最初の、そして強力な賛同者が、冴えない冷蔵庫のセールスマンだったというのもほほえましいです。

やがて、ヘイエルダールはペルー人としての国威発揚を利用してはどうだろうと、大統領に掛け合うあたり、プロデューサーとしても天才的な発想を持っていました。ペルーがポリネシア人の先祖であると証明できれば、大統領としても相当な国の宣伝になるだろうと読んだわけです。

5人と1羽と1匹のお伴

気づいてみれば、ヘイエルダールの冒険に参加したいという人物はしめて5人と1羽になっていました。ロリコンの語源にもなった美少女ロリータという名前のカラフルな羽根のルリコンゴウインコが1羽、やがて、筏が無事出航すると、ヘイエルダールは他の乗組員には知られずに、筏の材木と材木の間にたまたまいたカニを可愛がるのです。

史上初の大西洋横断無着陸単独飛行を行ったチャールズ・A・リンドバーグの孤独な戦いを描いた『翼よ!あれが巴里の灯だ』で、ひとりぼっちの操縦室内でのリンドバーグの究極の孤独を紛らわせてくれたが一匹のハエだったようにです。

船長は泳げない人だった!!

いよいよ、コン・ティキ号はペルーの港から南太平洋の海に向かって船出をします。初めは、順風満帆な航海が続きますが、もちろん、嵐にも遭い、さまざまな艱難辛苦を味わいます。

ただ、ここで衝撃の事実! これだけの大航海に船出に出るというのに、船長のヘイエルダールは、何と、泳げない人だったのです!! えーっ、それがまたサスペンスを盛り上げれくれます。

さらに、巨大な鮫との遭遇。

鮫がうようよ回遊する海。その海に投げ出されてしまった乗組員。どうせスタジオかCGだろうと思われたそこのあなた、この映画の海洋シーンはすべて実写の、本物で撮影しているというから驚きです。

どうかその目で確かめてみてください!

決して損はしない船旅

しかも、この映画で待ち受けているのは、今書いたような嵐や鮫といった普通の海洋冒険映画にもある月並みなエピソードばかりではないのです。

4000キロの航海と冒険と経験した者でなければ語れないような艱難辛苦がこの先も何度も何度も「観客に」襲いかかきます。

 

今年のアカデミー賞で今、主演男優賞で本命視されている『ラ・ラ・ランド』のライアン・ゴズリングに負けず劣らずの名演を見せてくれている、主人公ヘイエルダール役を演じるノルウェーの俳優ポール・スヴェーレ・ハーゲン。その純金のような金髪と南太平洋の海のような青い目にうっとりしながらこの冒険を案内してもらい、俳優陣の確たる演技と美しい海の映像とすばらしい映画音楽に身を委ねてはいかがでしょう! 決して損はしない船旅を保証します!!

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