あなたはアクション映画の傑作『コラテラル』を見逃していませんか?

www.kobal-collection.com Title: COLLATERAL ・ Pers: CRUISE, TOM ・ Year: 2004 ・ Dir: MANN, MICHAEL ・ Ref: COL077AO ・ Credit: [ DREAMWORKS/PARAMOUNT / THE KOBAL COLLECTION / CONNOR, FRANK ] COLLATERAL (2004) , January 1, 2004 Photo by FRANK CONNOR/DREAMWORKS/PARAMOUNT/The Kobal Collection/WireImage.com To license this image (10529304), contact The Kobal Collection/WireImage.com

今回はトムクルーズ主演の映画「コラテラル」についてご紹介します!

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コラテラルの見どころ

かつて無いほど夜の街が美しく表現されている

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舞台となっているのは夜のロサンゼルス。開巻と同時に、映し出されるのは、美しいロサンゼルスの夜景。大都市の夜景をとらえた映画は、もちろん、このだけではないのですが、おそらくこの映画以上に、都会の夜景を美しくカメラに収めた映画はなかったでしょう。

何でも無いようにみえて、実はもの凄い照明技術

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たとえば、今年のアカデミー賞で本命視されているのは『ラ・ラ・ランド』というミュージカルですが、テレビなどでもさかんに取り上げられているので、ご存知の方は多いかもしれませんが、この新作映画で注目すべきは、短期間で習得したとは思えないライアン・ゴズリングのピアノ演奏とか、斬新な色づかいの衣裳や美術だけではありません。

あまりこの点に気づくはいないと思いますが、照明のスタッフのすばらしいライティングなのです。

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たとえば、今話に出たライアン・ゴズリングの出世作でもある名作『ドライヴ』とか、最初から最後まで一台の車の中にカメラを据えっぱなしにして、その車中から一歩も外に出ずにドラマを成立させた意欲作『オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分』など、車の映画は数あれど、実は、夜景の中を走る車のドラマというのは、照明さん泣かせでもあるのです。

実は、ドライバーの顔の見え具合で照明のうまい下手が分かるんです。

というのも、車の中の照明といえば、小さな車内灯ぐらいじゃないですか? あとは車外から漏れてくる光しか、明かりらしいものはないはずです。しかし、よく見ると、普通はドライバーの運転席の下あたりにあおり加減で照明が潜ませてあるのです。その照明が強すぎると、ホラー映画の「出た~っ」という感じになってしまいますし、弱すぎると、見えにくくなってしまので、このさじ加減がむずかしいのです。

最新鋭のテクノロジーが映像美を支えている

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この『コラテラル』では、80年代の『ザ・クラッカー/真夜中のアウトロー』や、90年代の現金輸送車強盗の傑作『ヒート』や、実在の銀行強盗王ジョン・デリンジャーを描いた『パブリック・エネミーズ』(09)など、アクション映画(この手の強奪映画をCaper Movieと言うのですが)の名匠であるマイケル・マン監督が、初めてヴァイパー社の〝フィルムストリーム高解像度カメラ〟というデジタルカメラを使っているのがミゾなのです。

そのため、照明なしで、夜の街を「素のまま」撮っているので、夜を肉眼のようにリアルにとらえ、それがたとえようもなく美しいのです。これほどナイト撮影の美しい映画を観たことがありません。それは断言できます。

コラテラルの内容

さて、肝心の内容ですが、ロスの街を流す一台のタクシーが乗せた客が、なんと、この上なくクールな〝ヒットマン〟、つまり、たまたま乗せたのが冷酷な殺し屋だったというお話で、それをトム・クルーズがものすごくクールに演じています。銀髪に染めた姿かたちがまた美しい。一方、マックスというタクシーの運転手を演じているのはジェイミー・フォックス。

 

そして、ヴィンセントは、一日の稼ぎの何倍も多い600ドル払うから一晩俺の言う通りに運転すれば、それだけ払ってやると申し出ます。初めは渋っていたマックスでしたが、背に腹は代えられず、では・・・と受けることにします。

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しかし、まずヴィンセントの言う通り、向かった最初の目的地で、マックスが車内で待っていると、空から降ってきた何かを車のルーフで受け止めたのが、なんと、男の死体だったというところから、ストーリーが動き出します。

どうやら、その死体はヴィンセントが殺した相手だったらしく、お前はこれを見た以上、俺の残された「仕事」につき合えということになってしまうのです。

断ろうにも、ヴィンセントは銃を持っているプロの殺し屋です。いつ後ろから撃たれてもおかしくない状況です。つまり、マックスは殺しの「仕事」をいくつも抱えた男の「巻き添え=コラテラル」になってしまうというのが、ストーリーの大筋です。

血も涙もないクールな殺し屋と人情味の運転手

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どうやらヴィンセントはこの街ではよそ者らしく、街の事情に詳しいマックスを必要としていたようです。ロスの街が好きじゃないというヴィンセントはどこの人間かは最後まで分かりませんが、ロスの地下鉄(MTA)で死んだ男にこの街のやつらは誰も気づかなかったという都会の孤独の逸話を語り出したり、戦争で何万人が死ぬ世の中で人間が1人ぐらい死んだからどうだというのだという哲学を持ち出したり、並みの相手ではありません。しかも、ヴィンセントが人を冷酷に殺す現場をマックスは何度も目撃もしてしまいます。果たして、マックスはこのコラテラルな恐ろしい状況をどう乗り切るのでしょうか?

その昔、ボストンの街の鉄道の名前にもMTAというのがあって、出る時に料金を払わないと出られないので、永遠に降りられなくなったチャーリーという男を歌ったフォークソングがありましたが、それと同じように、まさにマックスは自分の車から降りられなくなった歌のような悲しい男になっていくのです。

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さあ、あなたも、どうかこの映画の「巻き添え」になってみてはいかがでしょう。きっとこの映画の美しい画面とサスペンスから「永遠に」降りられなくなるはずです。

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